大学を卒業してから今までずっと仕事一筋の生活だった。正確に言うと仕事というより典型的な会社人間だ。遊ぶ時も会社の同僚、飲みに行くのも会社の同僚、そしてもちろん残業・休日出勤は当たり前だ。最高記録は6か月間休みなし(もちろん土日も)、よく過労死しなかったものだ。
そのせいで家事がまったくできない。料理洗濯はもとより、掃除機の使い方もよくわからない。高校時代にインスタントラーメンとスープを水に入れてそのまま火にかけて出来上がり!!なんて料理音痴の才能も手伝ってのことなのだろう。
子供のことも妻にまかせっきり。学校の行事なんか出たこともない。担任の先生の名前も知らない。一度運動会で学校に行った時など入口がよくわからなかった。挙動不審で警察に通報されるかと思った。最近の小学校は警備員がいて、門が閉まっていて、子どもたちは防犯ブザーを持っている。変な世の中だと思う。
そんなぼくが遅ればせながらマイホームパパを目指すことにした。少し違うがイメージは(あくまでもイメージ)マスオさんだ。酒は家で飲む。ゴルフの前にはクラブを磨く。妻から小遣いをもらう。子煩悩でお人よし。それが目標だ。子どもたちが小さい時なら喜んでくれただろう。
さて家事の方だが、料理はどうしてもできないので洗い物を担当することになった。意外とずぼらな妻はあんまり片付けが得意な方じゃない。これならぼくにも勝てるかも?食後の片づけがぼくの担当になった。ここで発見!我が家には食器洗い機がある。なんて便利な機械なのだろう。限られた空間に食器をセットする創意工夫、油汚れが見事なほど落ちる。手あれだって防げる。乾燥までしてくれる。この文明の利器に魅せられたぼくは食器洗い機を極めていくことになるのだ。反面、他の家事はさっぱりなのだが。
ひとつ不幸なことに娘が指を骨折した。(軽い剥離骨折なのだが)通院することになった。保護者として自転車で一緒に通院していると何か連帯感が生まれてきたようだ。徐々に本当に徐々にだがマイホームパパへの道を歩みだしたような気がした。こんな些細なことからだが、それほど家庭を顧みなかったぼくの大きな1歩だ。
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